私が初めて自分でおせちを作ったのは、昨年の暮れ、通っていたお料理教室でのことです。
4人くらいで6品のおせち料理を完成させ、見本の通りに盛り付けして食べておわりという流れでした。
料理自体があまり上手くできてなくても、お料理教室の先生のテクニックと小道具により、キレイで華やかなおせちが出来上がりました。
すっかりできる気になって帰宅した私。
そうだ、元日に祖母宅に行くときに作って持って行こう!
そう思い立ち、張り切って具材を買ってせっせと準備していたんです。
料理が数品完成して、さてお重に盛り付けようかという段階で気づきました。
おせちって適当に盛り付ければそれっぽくなるのかしら?
幼き日の記憶をたどりながら、とりあえず盛り付けてみたけどなんか違う。
おせちというより、正方形のお弁当になってしまいました。
詰め直してもぐちゃぐちゃになりそうなのでそのまま持って行きましたが、次のお正月はリベンジしたい。
そんな思いでお重の盛り付け方について調べてみました。
すると、盛り付け方にもバリエーションがあることなど、知らなかったことが色々わかったんで、あなたにもご紹介します。
段ごとに入れる料理が決まっている!
おせち料理のお重は、正式には5段とされています。
一番上の段は年神様から頂く福を入れるために空っぽにしておいて、あとの4段に料理をつめるのが伝統的なおせちのお重です。
4段のお重にいっぱいに詰まったおせち料理って、かなり多いと思いませんか。
今は核家族化が進んで、お正月でも親戚一同が集まるなんてことも少なくなってますよね。
うちの場合、多分そんなに沢山のおせち料理、消費できないです。
というわけで、最近は3段のお重が主流となっています。
そしてその3段のお重も、お重1つ1つに入れる料理の種類にルールがあるんです。
重 | 盛り付けるべき料理 | 料理の例 |
一の重 | 口取り、祝い肴(おつまみ) |
かまぼこ、きんとん、ちょろぎ、伊達巻、錦玉子、数の子、ごまめ(田作り)、黒豆、たたきごぼう など |
二の重 | 焼き物、酢の物(メイン) |
鯛、海老、かに、ぶり、紅白なます、菊花かぶ、酢れんこん、ほたての甘露煮 など |
三の重 | 煮もの |
ごぼう、こんにゃく、れんこん、里芋、くわい、人参などの縁起物の食材を入れた煮しめや筑前煮など |
なお、肉料理もメインになるので、二の重に入れるのがいいと思います。
でもこんなに細かく決まっているなんて知りませんでしたよね。
私は、適当に入れればいいやって思ってました。
そして適当に盛り付けた結果、おせちというよりお弁当になっちゃったんです。
ルールに沿って盛り付ければ、お弁当化は回避できそうですよね。
それから、ひとつのお重に入れる料理の種類は、奇数にするというルールもあります。
これは、奇数が陰陽道における陽数とされており、縁起が良いといわれているからです。
ご祝儀の金額、神前式での三三九度、七五三のお祝いなど、そういえばおめでたい場面では奇数の出番が多いですよね。
次で紹介する色々なお重の盛り付け方も、料理の種類は奇数になるようになっています。
お重への盛り付け方いろいろ
お重への盛り付け方には、様々な方法があります。
それぞれのお重へ盛り付ける料理の数や種類によって適した盛り付け方があるので、詳しく見ていきましょう。
名称 | 具体的な盛り付け方 |
乱盛り |
一品をアトランダムにたっぷり入れる方法。アクセントになる緑の具材やあしらいを最後に乗せるとよい。 |
段取り |
お重を平行に等分して、ラインごとに料理を盛り付ける方法。簡単に美しく盛り付けることができる。 |
市松 |
お重を縦横のラインで三等分ずつして、9種類の料理を盛り付ける方法。たくさんの種類を盛り付けられる最もシンプルな方法と言われている。 |
隅取り |
お重の各辺の真ん中を結んでできるひし形で仕切る方法。中央のひし形に豪華な料理を盛り付けて、あとは四隅に料理を盛るだけで簡単に華やかな見栄えにできる。 |
手綱 (枡かけ) |
お重を斜めに等分して盛り付ける方法。三等分して中央に豪華な料理を盛り付けることで華やかさを演出することが多い。 |
七宝 |
お重の真ん中に豪華な料理を盛り付け、周りを放射状に6つに仕切って盛り付ける方法。 |
こんなに種類があったなんて、全然知りませんでした。
この様々な盛り付け方からそれぞれのお重に合ったものを選択して盛り付けるわけですが、一体どれがいいんでしょうか。
一番上の一の重には、口取りや祝い肴と呼ばれるいわゆるおつまみ系の料理が入りますよね。
種類が多くなりそうなときは、市松がよさそうです。
仕切りにおしゃれな小鉢や枡などを使うとより華やかに見えますよ。
二段目の二の重は、メインの焼き物や箸休めの酢の物が入るので、豪華な盛り付けが期待されます。
やっぱり真ん中に海老や鯛などがどーん!と入る盛り付け方がいいですよね。
となると、隅取りや七宝、手綱などがいいんじゃないでしょうか。
三段目の三の重は、煮しめをたっぷり入れるので、乱盛りが簡単に伝統的なおせちを表現できると思います。
また、具材それぞれを並べて段取りに盛り付けたり、手綱に盛り付けたりするとお正月感がもっと出ていいですね。
おせちを盛り付けるときの注意点
おせち料理の準備ができて盛り付け方も決まったら、すぐに盛り付けたくなっちゃいますよね。
でも、ちょっと待ってください。
おせちの盛り付けには、注意点がいくつかあるんです。
- 料理は十分に冷ましてから盛り付ける
- 形が崩れにくいものを先に盛り付ける
- 高さをそろえて盛り付ける
- 似た色の料理を並べない
- 隣同士で味や香りがうつらないように仕切りをする
- 一つの料理を取り出したときに隣が崩れないようにする
- 海老などの頭と尾があるものは頭を左側にする
冷ましてから盛るのは、普通のお弁当でも同じですよね。
熱いままだと衛生上よろしくないからです。
かまぼこや伊達巻などは形が崩れにくいので、最初に配置するのがおすすめです。
形が崩れやすいものや汁気の多いものは、小鉢などに入れるといいですよ。
小鉢に入れると形はしっかり決まるので、最初に盛り付ける方がいいでしょう。
仕切りには、笹の葉をつかうはらんや、竹筒、ゆずをくり抜いて作るゆず釜などを使うことが多いです。
ゆず釜は結構大きいので、レモンで代用しても大丈夫ですよ。
数の子は平らに盛り付けると高さが出ずちょっと寂しい印象になってしまいます。
そういうときは、立てて盛り付けると豪華な感じが出せますよ。
頭と尾があるものの向きですが、ごまめ(田作り)も左向けにするのでしょうか。
これは気になって色々調べてみたのですが、どっちでもいいみたいです。
調味料メーカーやお料理関係の企業の公式サイトでも、ごまめが全員左を向いているものもあれば、アトランダムな方向を向いているものもありました。
ただ、全員右を向いているのはなかったので、向かせるなら左側というのはあるようです。
いつのことだったか、親戚宅でごまめをお重に盛り付けるのを手伝ったときに、全員左を向かせていたら笑われたことがありました。
ごまめは並べなくていいよとその時に言われましたが、これは個人差や地域差もあるようですね。
ちなみに私はアトランダムに盛り付けてある方が、ごまめが元気な感じがして好きです。
ここまでお重について色々とご紹介してきましたが、お重がない場合はどうしたらいいのでしょうか。
おせちは、お皿に盛り付けることもOKとされています。
お重があっても、一品だけ別のお皿に盛り付けて華やかさを演出することも可能です。
最近はワンプレートに盛り付ける方法も人気のようですよ。
お皿に盛る場合であっても注意事項はほぼ同じです。
どの料理を取っても全体が崩れるということのないようにして、海老や鯛の頭は左に向けるのがいいでしょう。
まとめ
おせちって、それぞれの料理の意味だったり地域ごとに中身が違ったり、何かと奥深い存在だとは思っていました。
でもまさか盛り付け方までこんなに種類があるとは。
おせち、あなどれぬ。
そんな奥深きおせちを自分で準備できるってちょっと格好いいなって思いませんか。
おせち料理を手作りするのはもちろん、ルールを理解して美しく盛り付けることで、お正月気分もワンランクアップすること間違いなしです。
私も次はお弁当おせちのリベンジができそうです。
やる気が高まったところで、新しいお重を買いに行ってきます。